初心者の方が教室を選ぶポイントは・・

生涯の健康法として続けられる場所を探す

初めての方が「太極拳を習ってみたい」と思う理由、きっかけは、人によって様々だと思う。映画などを観て中国武術に憧れて「太極拳でもやってみよう!」と思う人もいらっしゃるでしょう。あるいは、ご友人が太極拳をされていて、「何だか楽しそうだし、健康にもいいらしいから自分もやってみたい!」と思う方もいらっしゃるでしょう。

習い事の教室を選ぶ時、やっぱり色んな条件を考慮して選びますよね。家の周囲に教室が少ないならば選択肢はあまり無いでしょうが、いずれにせよ、あんまり遠方では通うのが大変で困るでしょう。やはり通いやすい距離の教室を選ぶという人が多いでしょう。

でも、「(健康目的か武術的に強くなりたいのか等の)ハッキリした目的意識をもって意欲的に稽古を開始したい!」とか「あの先生に習いたい!」という明確な意思が、教室探しの段階で固まっている人ならば、多少距離が遠い教室でも頑張って通うことでしょう。

私がとにかく思うことは、「太極拳は長く続けることに意義がある」、「長く続けてこそ動作を行う際の醍醐味が解る」ということ。太極拳の動作のコツは、一気に短期間では身に付きません。

軽く動作をなぞる程度ならば、ほんの1~2ヵ月でもできるでしょうが、太極拳本来の無駄な力が抜けた柔軟でバランス感覚の良い動作は、数年~十
数年単位の練習を積まないと、どんなに器用な人でもすぐにできるものではありません。

何年やれば完璧な動作ができるという事は言えない、未知の終わりのない修行みたいなものです。だから、習いに行くという事を長期的に捉え、通いやすい教室を探す。そこの先生が勉強熱心で素敵な雰囲気をお持ちならば、なおのこと良い。

自分の師匠を選ぶときは、直感も必要です。一度、教室を見学したり、体験に参加させてもらい、先生と少し会話してみて、「なんかシックリ来るな~」とか、「自分と合うかも」と少しでも感じられればベターです。


それから教室には他の皆さんもいらっしゃると思うので、その人達と先生の会話のやり取りを聞いてみて、全体的に教室の雰囲気がよく、誰もが萎縮せず、稽古に熱心に取り組めているようなら通ってみる価値があると思います。 


あとは自分の感覚です。太極拳を行う際に、無駄に力んだ状態で筋肉を固くしてしまっては良い稽古ができません。だから適度にリラックスできる教室の雰囲気というのは大事です。

太極拳は、日本でもこの二十数年ほどの間にかなり普及してメジャーな運動となり、いたるところに教室があります。流派・団体によってやっている稽古の内容も違います。例えば、道具(扇や剣)を使う稽古があるのか、競技会への出場なども想定して稽古するのか、そういった大まかな内容はネットで調べれば大体わかります。

自分がどういう稽古をやってみたいのかイメージができてくれば、あとはとにかく実際に体験や見学に行ってみる事だと思います。


それから、これはあくまでも私の個人的な考えですが、教室の指導者の方で、”他者や他流派をやたらと批判する人”は避けたいものです。太極拳の場合は、流派が違えどルーツは同じなのですから、他の教室や他の流派をやたらと批判せず、存在価値を互いに認め共存していく感覚を持つ指導者に、私は心惹かれます。自分もそうありたいと思っています。

指導者や先輩、場所の雰囲気など相性もありますから、もし他人が「あそこは良い、あそこは駄目」と言ったとしても、他人の意見で決めるのではなく、実際に自分で足を運んで体験するのが一番だと思います。

お稽古事の費用(月謝)について思うこと

お稽古事といえば、やはり費用(月謝等)も気になるところですが、私が思うに、太極拳は結構、財布に優しい方だと思っています。これは、私が過去に茶道をやっていたから感じる事なのかもしれませんが。茶道や日舞などの日本の伝統文化は結構お金がかかるイメージがありますね。長く稽古を続ければ、やはり道具や着物など良い物が欲しくなったりもするでしょう。

それから別の習い事では、指導料(月謝)は比較的安く設定してありましたが、毎回材料費がかかりました。
ほかには、昔スポーツクラブの会員になっていた時期がありますが、毎月の会費は太極拳の稽古よりも多い出費でしたね。

太極拳は種類によっては身一つでできるし、びっくりするほど高額な道具はそんなに無いでしょう。もちろん表演服などのウェアを購入する人もいるでしょうが、和装
着物などに比べれば安いものです。だから、太極拳は財布に優しいほうだと思うのです。

ただし、教室や流派によって参加費用はまちまちですし、道具を使う場合は多少は購入費もかかるでしょう。結局、ご自身がどんな事をやりたいのか、多少お金がかかっても道具を使う武術をやってみたいのか。また、どういう雰囲気の教室が自分に合うのか、費用はいくら位なら出せそうか、車で行くか徒歩で行くか・・そんな条件は個人個人で全く違うので、とにかく実際の見学や体験を経て、自分に合う納得できるところを探すのがベストでしょう。

“その辺の教室”を適当に選んだら駄目なのか!?

だいぶ前にネットで太極拳について見ていたら、ある質問サイトにこんな内容が書き込まれていました。「太極拳を習いたいなら、その辺の教室に安易に入ってはいけない。ちゃんと教えてもらえない適当な部分ばっかりだから。」というような内容でした。これは正しくもあり、間違いでもあるんです。

この意見のある意味正しいと思えるところは、もし“その辺の教室”に安易に入った場合、そこの指導者の学びの度合いによっては、武術的なノウハウや側面、太極拳の学びの奥深さまで説明してくれないケースもあるかもしれないので、その場合、指導内容に物足りない面が出てくる可能性がある、ということ。

しかし、“その辺の教室”であっても、指導者が深いところまで学んでおり、太極拳の神髄をきちんと指導する教室だってあるかもしれないので、これはもう、何とも言えない。結局は、教室を探している人が、自分で見学して内容を探ってみるしかないのです。

一方、習う側について言えば、「深く太極拳の根本原理を追求するところまでは不要」というタイプの人もおり、「どんな教室でも構わない」と、割と気楽に参加できる“その辺の教室”を求めている方も、現にいらっしゃいます。

日本は今、超高齢社会なので、戦う為の武術的な強さを求めたり、難解な理論を突き詰めたりするよりも、「ほんのちょっと、運動不足を解消する程度に、“健康体操的”に太極拳をやりたい」というご年配の方もかなりいらっしゃいます。

そういう方は、“小難しい理論”や、“武術の繊細な技”をどんどん指南する教室だと、「難しい。できない。自分には合わない。」と尻込みしてしまい、稽古が続きません。こういう方は、むしろゆっくりペースで、理論は突き詰め過ぎない教室に安心感を得ることが多いのです。

よって結局のところ、先に触れたように、教室選びには人のアドバイスをそこまで重要視しなくてもいいと思います。他人の主観が大いに入ってしまうからです。

最も大切なことは、実際に自分で見学に行って自分の目でみてみる、体験に参加し、自分ができそうな稽古内容であるかを自ら確認する、これが一番なのです。



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