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11月, 2020の投稿を表示しています

大腿四頭筋や足首を甘やかす現代の椅子生活

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長期間、運動や体のケアをしていない場合・・ 私は、自分自身も中国武術等を師に習い学びながら、自らも微力ながら太極拳などを指導させていただく立場にある。最近私のところへ習いに来て下さっているのは 50 代から 80 歳くらいまで、年齢層は様々である。年齢層、性別、運動歴、体力、気質、性格など、それぞれ個性がある皆様に会うのを、毎回楽しみにしている。 ところで稽古を行う際に、教室で皆様を前に感じていることがある。それは、特にご年配の方の中に「しゃがみ込む動作」ができない方がいらっしゃるのがちょっと心配なのである。とりわけ初心者の方の中には、長期間、慢性的な運動不足だった方もいらっしゃる。 そのような方は、足腰の柔軟性を取り戻すのに数ヵ月どころか1年以上かかる人もいて、とにかく柔軟性を取り戻すのは至難の業である。高齢だから体が硬いのではない。なぜならば、たとえ 80 代の人でも適宜、運動してきた人は体が柔らかいし、(病気や怪我などの例外を除けば)関節の可動域も決して狭くなったりしていない。 深くしゃがみ込めない人は、とにかく足腰周辺の筋肉が硬直化したり、関節の柔軟性が乏しくなっていらっしゃる。太極拳の型「下勢独立」や、練功十八法(中国の健康体操)の動きの中で、(勿論その人ができる可能な範囲で)沈み込む動作をやってみた時、ハッキリと体のそこかしこの部分の硬さが分かるのである。こういった方は、おそらくヤンキー座りもできないはずである(まぁヤンキー座りは別にしなくても良いけど 💦 )。 現代のマンション住まいの方などは、和室は猫の額ほどのケースが多く、和室なしのマンションだって結構あるようだ。これは住む人の趣向の問題なのでどちらでも良いのだが、とにかくフローリングメインで「ほぼ椅子に座る生活ばかり」という人はかなり多いと思う。マンションやアパートだと、いや一軒家でも、トイレも今どきはほとんどの家が洋式トイレだろう。和式トイレのようにヤンキー座りしなくても用を足せる。 昔ながらの純和風の一軒家に住むとか、あるいは日本古来のお稽古事でもしていれば話は別だが、多くの日本人は椅子やベッドの生活に慣れ親しんでいる。 かく言う私自身も、畳にすわる頻度は昔に比べてグッと減っているので、太極拳を長く稽古していなかったら、足腰の関節をあまり曲げることが無くなり、しゃがみ込めなくなっていたのかも

太極拳に出会って初めて放鬆(ファンソン)を知った

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まずは、とにかく緩める 約 20 年前に太極拳を始めてから、初めて放鬆(ファンソン)という言葉を知った。太極拳をするときも、中国の気功健康法などを行うときも、体全体の筋肉を緩め、特に関節まわりの筋肉は緩めて、いつも緩やかに動ける状態にしておく。 運動不足が続いている人や高齢者などは関節の可動域が狭くなりがちで、可動域が狭くなると体の柔軟性も乏しくなり、怪我をしやすくなったり、血流が妨げられたりしてしまう。 放鬆の状態では、緩めるのは「体」ではなく「身体」。言ってみれば、筋肉を柔らかく保つだけではなく、自分の「身」を成すもの全体の「心身」、つまり心も精神面も穏やかに柔らかくすることで平静を保ち、焦ることを防ぐことで怪我や事故の確率も低くすることができるのである。 人は、仕事の場面や、学生なら学校での大事な発表の場面などで緊張することもある。でも普段から放鬆を心がけ、心身を穏やかに緩やかに保ちながら、何事にも広い心で、平常心をもって取り組むようにすれば、いつも心に余裕ができ、他人にも自分にも優しく、大らかに接することができるのである。 「短気は損気」というが、つい先日、テレビのニュースでこんな事件を知った。あるバイクに乗った女性が、自転車の男性に対して“あおり運転”をして書類送検されたというもの。この女性と男性は近くで接触しかけ、口論になったという。そしてこの女性は、警察に「頭に血がのぼった」と自供したらしい。 頭に血が上るという状態は、つまり体全体=上半身と下半身の調和が取れていない。体と心のバランスも取れていない。 人間誰しも生きている限り、他人とちょっとしたトラブルが起きてしまい、ときには頭に血が上るような事もあるだろう。でも、そこでちょっと一呼吸おいて、身体を緩め(放鬆!)、「いや、ちょっとまてよ」と立ち止まって一瞬考え、理性的に物事に対処できれば大事にならずに済む。 太極拳は「上虚下実」。下半身は肢体をアーチ型に保って安定して立つ。上半身はその上に乗っかる。頭は、頭頂の百会のツボを真上の天井に向け、首筋もしなやかに伸ばす。体のどの部分にも無駄な力は入れずとも、バランスよく立てるのである。 武術的な観点から太極拳をみた場合も、激しく敵に挑む感覚は不要。敵と対峙するにも、無駄に力んで興奮して我を見失った方が負け。 健康法として太極拳を行う場合も、放鬆を実現して筋肉

太極拳仲間の80代の方々をみて思うこと

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いつまでも!生涯続けられる太極拳 私の周りには、 70 代~ 80 代から、健康法として太極拳の稽古をスタートした稽古仲間が沢山いらっしゃる。そのくらいの年齢から太極拳を始めた人でも、 20 年くらい太極拳を健康法として楽むことが可能である。あくまでも健康法として、高齢者が無理なくできる稽古内容であればという前提ではあるが・・。 太極拳は、年を取ったからといって途中で辞めなくてもいいので、いつまでも生涯続けることができる。実際に 90 代の愛好者もいらっしゃる。指導する側にも、 80 代の方々は多くいらっしゃる。激しく動きまわったり飛び上がったりしないから、 80 代、 90 代のベテランの先生方が円熟味を増した状態で指導できるのである。 本場中国にも、そういった高年齢の熟練指導者は多くいらっしゃるようだ。私は、ある中国の太極拳大家の方の本を愛読しているが、その方は最近 90 代後半で亡くなられている。亡くなる直前まで、現役の指導者として活動されていたそうだ。生涯現役で太極拳。素晴らしいと思う。 つい最近、ちょうど80歳の方が、私が出入りしている教室に新しく入会された。太極拳が体に良いと聞いて「やってみたいと思った」とのこと。本当に素晴らしいと思う。 もし何かを実行する時に、足踏みばかりしてしまったり、深く考え込み悩んでばかりのタイプの方は、習い事を始める時も身構えてしまって悩み、結局、二の足を踏んで入会をためらうケースだってあるかもしれない。 でもこの 80 歳の方は、テレビの健康番組をみて太極拳が体に良いと知り、即、行動開始! テレビで知ってから1週間以内に教室を探し、体験に来られた。いくつになってもこのように行動力があり、積極性をお持ちの高齢者の方は素晴らしいし、見習いたいと思う。 「いい年して恥ずかしい」なんて事はない! そういえば過去に、(こういう事は、稀なケースとは思うけれど)残念に思ったことがある。 ある太極拳未経験の 70 歳くらいの方が、私が出入りしている教室へ一度体験にいらした。その方は始終、何となく恐縮した様子だった。なぜ恐縮しながら太極拳を体験されたのか。稽古終わりにその理由が分かった。 体験に参加する前に、自宅で「健康の為に太極拳をやってみたい」と家族の前で切り出したときに、ご家族から「いい年して恥ずかしい」、「今更なぜ太極拳なん

「老い」と「死」について思うこと

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正直言うと、老いが怖い、死ぬのも凄く怖い 昔、中学生の頃、初めて「死」を意識した。それより前の小学生時代に祖父母を亡くした時は、もちろん悲しかったけれど、死というものは、自分には直接関係ないことの様に思え、あくまでも他人事のような感じだった。 それが中学生になると、少し知恵がついて来たのか、思春期のせいなのか、人生や自分自身のことを憂う時期だったのか、ある日、夜寝る前に、急に死について深く考え、怖くなってしまった。 「死んだらどうなるのだろう。すべては無になるのだ。自分の肉体がこの世から無くなるなんて耐えられない。目を落とせば必ず視界に入る自分のこの腕も足も、死んでしまえば消えて無くなるのである。起きている間は常に何かを考えているこの脳も、いつか働かなくなって何も考えられなくなる時がやって来る。そんなのは嫌だ。だから少しでもあがいて長生きしたい。死ぬのは怖い。」 当時、親族の葬儀に出たときなど、お坊さんが読むお経で「白骨の身となり」・・とのフレーズを聞き、詳しい意味は分からないながらも、「ああ、そうだ。いつか人間は白骨になるのだな」と、漠然と、自分の力ではどうにもならないことが将来待っているのだと不安になったものだった。 それから長い時を経て現在、中高年に足を踏み入れてしまった今も、この気持ちは変わらない。よく知人の中には、「別にいつ死んでもいい」とか、「色々やりたい事はやったから今死んでも悔いはない」とか、「死ぬのは怖くない」、「深刻な病気になっても延命治療はしない」という人がいるけれど、私にはそんな勇気はない。中高年になっても、まだ死について、そこまで達観する事ができない。 人はどんな状況になっても、現世に未練が残るものだと思っている。どんなに年を取っていったとしても、意識がある状態ならば、私だったら延命治療を拒否することはできないだろうと思う。あくまでも現時点での判断だけれど、実際に将来そのときがやって来たとしても、相変わらず私はあがいてしまうのだと思う。 「姿勢」と「歩き方」には気をつけたい 私は、ずっと若かりし頃( 20 代くらいの頃)には、旅行やレジャー、ファッションなどいろいろなものに興味があり、時計やバッグのブランド物を買って身につけたりしていた時期もあった。当時は、バッグ、時計、洋服以外にも欲しいものが沢山あって、いわゆる物欲が旺盛だったと思う。服
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