経穴(ツボ)が口腔内にもたくさんある

子供の頃から歯が悪かった悲しい思い出


このブログを読んで下さっている皆様は、歯と歯茎の健康状態はいかがでしょうか?
歯の治療イメージ 歯科
恥ずかしながら、私は小学生の頃、虫歯治療で歯科医院へ何度も何度も通った。私の弱点は、子供の頃から「歯」である。とはいえ、暴飲暴食で歯を痛めつけて酷い肥満になった経験はないし、炭酸を飲みまくって歯を溶かすような生活もした事はない。幼少時から毎日きちんと歯磨きもしてきた。けれど悲しいかな、家族の中で私の歯だけが虫歯になりやすかった。

子供時代、一緒に暮らしていた他のきょうだいは、歯磨きをサボって寝ても虫歯にならず、ケアをまともにしていないのに、私よりもずっと歯の状態が良かった。同じ食べ物を食べて育ち、同じような生活リズムで育ったきょうだいなのに、歯のケアをきちんと行っていた私よりも、口腔ケアに無関心だったきょうだいの方が歯の健康が保たれていた。

果たして私の歯磨きのやり方が余程まずかったのか?、唾液の出方が不十分なタイプだったのか?、あるいは私の歯は生まれつき色も良くなかったのでエナメル質に問題があったのか?、今となっては理由は分からない。とにかく子供の頃、歯では苦労した方だと思う。

そんなこんなで子供の頃から歯が弱点だった私は、大人になってからは、とにかく歯のケアに非常に気をつかって生活してきた。もちろん寝る前の歯磨きは丁寧に行い、歯間ブラシも使うし、奥歯は鉛筆型の細いブラシでケアする。


これを継続しているおかげで、大人になってからは、かかりつけの歯科医院へ行くたびに、いつも先生や衛生士さんから「よく磨けていますねー」と言われる。歯茎チェックをしてもらうと、いつも歯周ポケットには何ら問題ない。

ただ、とにかく“過去の治療済みの歯”が多いので、そこが新たに悪くならないように、口腔内の清潔を維持することに気を使って生活している。唾液が出やすいように、いつも口を閉じて“立禅”をしている。


思い切ってインプラント治療に挑戦


ところで小学生時代、歯の治療に何度も通った経験を持つ私は、その後
10代後半の学生時代には、当時通っていた大学のそばの歯科医院で2本神経を抜かれた。この学生時代に通っていた歯科医院の先生は、とにかくすぐ神経を抜くという方針だった。

私自身、学生時代には歯科治療の知識がなく、治療方針へのこだわりもなかったため、歯科医から「神経を抜きますよ」と言われれば、「はい、そうですか」という軽い感じで抜いてもらった次第。当時は「抜くしか無いんだろうな」くらいにしか思っていなかった。


もし、これが今ならば、「神経を抜かなくてもいい治療法はないのか?」と確認するだろうし、1カ所の歯科医院で治療方針に疑いを持ったら、セカンドオピニオンを求めると思う。しかし、とにかく学生時代の過去の私はそんなことは思いつきもしなかったし、判断力もなかった。時すでに遅しである。

歯の神経を抜けば、その歯は、神経のある歯よりも脆くなる。これは本当だった。学生の頃に神経を抜いた歯は、大人になり随分年数が経ったある晩、いきなり亀裂が入った。現在のかかりつけの歯科医院で詳しく調べてもらったら、この歯には縦に亀裂が入っており「もう抜歯するしかない」と言われた。ショックだった。

そして、かかりつけの先生に言われた治療の選択肢は、大きく分けると4つだった。インプラント。ブリッジ。部分入れ歯。抜きっぱなし。この4つ。


まず最初に私が思ったのは、「入れ歯は無いわ~」という事だった。昔からのイメージで、入れ歯はもっと高齢のおじいさん、おばあさん世代がするもの、という意識があった。だから、まだまだ高齢者の域に達していない自分が入れ歯をすることに、どうしても抵抗があった。それに説明を聞いてみたら、入れ歯は手入れが面倒な気がした。

ブリッジ。これも「無いわ~」と思った。亀裂が入って駄目になった歯だけではなく、その両側の健康な歯までグッと削るなんて勿体ない!
子供の頃、歯で苦労した私にとって、何の問題もない2本の歯を深く削るなんて勿体ない事は、決してできないと思った。

抜きっぱなし(つまり抜歯後は放置)。これだと抜いた部分は隙間があく事になるから、年月とともに周囲の歯が動いてしまう。だから将来は「歯並びがどうなるか分かりません」と先生から言われた。私は歯の質には自信がないけれど、歯並びだけは良い。せめて歯並びの良さくらいはキープしたいから、「抜きっぱなしも無いな…」と思った。


残る選択肢はインプラント。これは仕上がりが良ければ理想的な感じ。だけどネックなのは料金が高い!
たった1本の歯のために高額なお金をかけるのかどうか迷った。それに歯茎の奥にネジを埋め込む“手術”をするというのが何とも怖い。幸いなことに、これまで私は内臓などの大きな病気をしたことが無い。だから“手術”は未経験、未知の世界だったので、たかが歯1本の小さい手術であっても、やはり抵抗があった。

結局、その後、歯科医院の先生や助手の方と入念な打ち合わせをして、私はインプラント治療を選択した。生まれて初めての“手術”をしてもらった。身構えていた“手術”も、当日は麻酔が効いている状態なのでそんなにしんどくなかったし、術後は1週間もすれば腫れが引いて、埋め込んだネジは自分の歯茎に馴染んでいった。
インプラント ネジ イメージ

現在は、インプラント治療が終わってだいぶ時間が経った状態である。この治療にはお金がかかったけれど、使用感は快適で満足している。今、何でも噛めるし、思い切ってお金をかけてインプラント治療をやって良かったと思っている。

この先、私はインプラントを長持ちさせるためにも、これまで以上に口腔内の衛生に気をつけなければならない。最近、私は定期的に歯科医院へ通い、口腔のクリーニングをしてもらっている。


歯茎のマッサージがこんなに気持ちいいなんて!


インプラント後のメンテナンスは「面倒だろうな」と思っていたけれど、自分でやることは、これまで通りきちんと歯磨きをすること。それから寝る前に歯科医院で作ってもらった透明のマウスピースをつけて寝ることくらい。

歯科医院での定期的な口腔内のクリーニングについて、内容は、歯石の除去などのケアを一通りやってもらい、最後に歯茎マッサージをしてもらう。このマッサージがとても心地良くて、至福の時間である。衛生士さんが指を使ってマッサージをしてくれるのが、とにかく眠くなるほど気持ちいい。


この歯茎マッサージ、私はインプラント治療をきっかけに初めて取り入れてもらった。これは多少お金がかかってもいいので、「是非またやってもらいたい」と思えるケアである。

昔、小学生の頃、私にとって歯科医院はとにかく嫌な場所だった。歯を削られる嫌な音がする場所。でも今は、歯茎のマッサージをしてもらうのが気持ちいいので、次の予約が待ち遠しいくらいである。

歯茎 マッサージ 歯肉 イメージ

衛生士さんによるマッサージの大まかな手順は、まず歯茎に清涼感のある血行を促すペーストを塗り、そのあと歯茎のすべてを順番に丁寧にマッサージしてもらう。このとき感じるのは、「歯茎って結構、凝ってるかも!?」ということ。肩凝りとか首凝りという言葉は何度も聞いたことがあるけれど、「歯茎凝り」は聞いたことがない。

歯茎マッサージを受けるとき、歯茎を衛生士さんが2本の指で挟んで軽く指圧してくれる。これが何とも言いようのない気持ちよさ。このマッサージをしてもらっている最中、塗ってもらったペーストの清涼感と指圧の心地良さが相まって、口腔内の血流がものすごく促されているのが実感できる。


口の中のツボ刺激は健康に良い


ところで中医学では、健康を保つために体中の「気・血・水」の巡りを良くしなければならない。そこで、口腔内の血流が促され、唾液が出やすくなる歯茎マッサージ。これは本当に素晴らしい口腔ケアで、「気・血・水」の巡りを促すためには、理に適ったやり方と言える。

口の中にも、たくさんの経穴(ツボ)があるらしい。私が歯科医院で受けた歯茎マッサージは、歯科衛生士さんの手でツボを刺激してもらっている事になる。口腔内の数十個に及ぶツボは、経絡で全身のあらゆる部分と繋がっている。だから口の中のツボを刺激することで、内臓機能や気管支系統の働きを整える効果まであるそうだ。


<例>・・・【齦交】(ぎんこう)のツボ

上唇をペロッとめくり上げて、唇と歯茎を繋げている【上唇小帯】の付け根というか真下部分にあるツボが【齦交】。
上唇小帯 イメージ ツボ
このツボを軽く刺激すると、
【口内炎、口臭、歯肉炎、眼痛、歯茎の腫れや痛み、顔面の発赤(赤ら顔・ほてり状態)】に良い。


ほかにも、
【心煩(精神的ストレス等から心が苦しみ悶える状態、過剰なストレスで興奮状態のとき)】は、このツボを軽く刺激すると良い。項頚部(うなじ辺り)のこわばりにも良いツボ。

唾液分泌を促す事は、嚥下障害予防や感染症対策に繋がる


口腔ケアには、歯を守ること以外で大切な役割がある。体が弱っている高齢の方などに関していえば、口腔ケアを積極的に行うことは嚥下障害の予防に繋がる。

例えば、かなり高齢の方が家に閉じこもり、誰とも会話せず連日過ごし、食も細く、運動もせず、歯の手入れも怠り、テレビばかり観ている生活を送っていると、極端に口まわりや顔の筋肉を動かさないので、唾液の量が減って歯周病になりやすくなったり、嚥下障害、誤嚥性肺炎のリスクが高まってしまう。

また、高齢の方でなくても、仕事などでストレスを抱えている人が、歯茎マッサージを受ければ、かなり口まわり、顔まわり、気分もスッキリ、リフレッシュできる効果がある。

歯茎マッサージは、自分でもできる。自分でマッサージする場合は、清潔な手や使い捨ての薄いゴム手袋などを利用すると良いと思う。

マッサージの要領が分からないときは、かかりつけの歯科医院で1~2回、実際にマッサージを受けてみることをおすすめしたい。そうすると、どこをどんなふうに指圧するのか、どこをマッサージすれば唾液線が刺激されるのか、要領が分かる。

下の
URLの動画には、マッサージの様子が映されている。
(参考:https://www.youtube.com/watch?v=HrawnQz2P3U

それから今、世の中はまさにコロナ禍である。感染症対策としてマスクをつけることは勿論大切なことであるが、まずは自分の口腔内が『唾液の出やすい状態であること』が非常に重要である。

唾液が出にくく口の中が乾いている、いわゆるドライマウスの状態だと、ウイルスが侵入し感染リスクが高くなってしまう。口の中、口の周囲のマッサージは唾液分泌を促すことに繋がるので、感染症対策にはもってこいである。

それからマッサージ以外で、口まわりを自分で動かす「あいうべ体操」をテレビやネットでみたことがある方もいらっしゃると思う。

以下の
URLで、あいうべ体操が紹介されている。
(参考:https://youtu.be/SYdt1pvZtdk

唾液が分泌されやすい状態をキープするには、口を閉じて『鼻呼吸』をするのが大原則。でも、それでも「口が乾きやすいな」と思うときは、自分で口の中のマッサージをしてみるのも良いし、唾液腺を刺激するように口まわりを動かしてみるのも良い。それから食事のときによく噛むことや、歌を歌うのも唾液分泌に良いらしい。


◆◆◆◆◆

私は、太極拳のほか、中国古来の健康法をやっているので、東洋医学、中医学にも興味があり、書籍なども過去にいろいろ読んでみた。
ツボ押しも、時々やっている。今まで太極拳の稽古をする際には、『百会、湧泉穴、命門、肩井、気海(丹田)』などのツボを意識下に置くことで姿勢を整え、体のバランスを取りながら稽古してきた。

でも、口の中のツボは盲点だった。過去にツボの本を数冊読んだけれど、どれも皮膚表面のツボばかり紹介してある。だから歯茎マッサージによって歯茎周辺のツボが刺激されるという発想が以前はなかった。とにかくインプラント治療を経験するまでは、口の中のマッサージやツボ刺激のことは意識していなかった。

歯茎マッサージを数回受けて心地良さを知ったことで、その効能を改めて意識した。唾液分泌を促し、虫歯や口臭、感染症を予防する。そして顔面周辺の血行を促進する。何より気持ちが良いから精神面で大きなリラックス効果を生む。嬉しいリフレッシュ効果、健康効果に繋がる。

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