健康維持と激務のバランス

働き方改革の前に立ちはだかるコロナ禍


昨年から続くコロナ禍により、保健・医療関係者や、飲食店、観光業などに携わる皆様は勿論のこと、地方行政を担っておられる方々、その他にもコロナ禍で業績が芳しくない分野の方々の心労はいかばかりだろう。
塾や習い事の講師で生計を立てている人や、エステなど人と密に接する美容業界の人も、コロナ禍で厳しい経営環境に置かれていらっしゃると思う。

土台がしっかりしている大企業であっても、コロナ禍で他社との取引が激減すれば業績は下がり、結果として大勢の社員が生活不安を抱えてしまう。

数年前から、働き方改革という言葉を頻繁に聞く。厚生労働省のウェブサイトには、「個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにする」などと、働き方改革について記載してある。

しかし改革を本格化しようという矢先のコロナ禍で、仕事のやり方を容易にコントロールできない状態に陥っている業界が大部分である。生産性を上げようにもコロナ禍で困難な面は多く、また高齢者を積極的に雇用しようにも、パンデミックが終わらないことには難しい。課題満載である。

とにかく今は何が何でも、個人個人が生きる糧をどうにかして繋いでいかなければならない。

パンデミックの世の中では、経営陣は、社員の誰かが体調を崩して
SOSを出す場合に備え、サポート人材を次々と育てておく必要がある。人間の仕事をAIがとってかわる時代が来ていても、細やかさが求められる仕事や、適宜、現場での決断を下していくことはヒトにしかできない。

マネージメントする側には、従業員の健康管理への配慮も求められる。利益を追求しなければならない企業にとって、利益を追求することと、従業員の意向や健康問題を第一に考えることは、必ずしも比例して進められないケースも多く、非常にもどかしい問題だと思う。

一般企業、公的機関、そして庶民の生活。コロナ禍で、この先の暮らし方や世の中の価値観はどう変わっていくのか。

我々庶民も、一昨年までとは全く違う生活、これまでにない窮屈な日常が続き、1人1人の心に健康不安や生活上の不安がつきまとい、ストレスが無くなることはない。

去年、コロナウイルスを指して「見えない敵」という言い方をよく耳にしたが、見えない敵が現れたことで、対応しなけばならないことが格段に増えている。おまけに最近は、ワクチンの受給問題一つをとっても、事が複雑になり、一体全体、我々は何と戦っているのか、よく分からない感覚に陥ってしまうことがある。


死ぬほど頑張らなくていい


ところで、中年と言われる年齢に差し掛かれば、身近な人の死は、誰もが過去に何度か経験したことがあると思う。私は随分前、身近な知人を癌で亡くした。

その人は
40代で体調に異変が生じ、1年ほど闘病した末に亡くなった。年齢的に社会人として脂が乗り切っている時だった。ある企業の経営陣の立場にあった人で、部下を多数抱え、その会社を切り盛りする主要メンバーの1人だった。

その人は病気を発症する前までは、とにかく現役バリバリの働き盛りで社会的にも責任ある立場、仕事で何度も大きな企画の責任者になり、日々仕事に邁進していた。ところが大きな企画を推進していく途中で、体調に異変を感じたという。

企画の責任者であるがゆえに、「企画が終了するまでは頑張ろう」と、休むことなく、病院にも行かず、体を張って頑張っていた。結果的にそれがよくなかった。

ようやく企画の実行終了後に病院へ行き、やっと本格的に体の隅々まで検査を行った結果、癌は複数箇所に転移していた。

その人は、体調不良が現れた初期段階のとき、まず肩や背中周辺のこわばりを感じていたという。「随分、肩凝りがひどいな。湿布でも貼っておこう。」と、忙しさの中、湿布を貼ることで凌いだ。

それから今度は、頭痛持ちではないのに、ほどなくして頻繁に頭痛がするようになったという。頭が痛いけれど、「企画のことで疲れているのだろう。頭痛薬を飲んで凌ごう。」と、過去には飲んだことがなかった頭痛薬を飲んで凌いだという。

あとから考えれば…の話になってしまうが、このとき肩や頭の痛みが“内臓の病気”から来ているものだと早く気づけば、何とかなったのではないか。

でも、その時まで“病気らしい病気”をしたことが無かったその人は、市販の鎮痛薬で凌げるからそれで済ませ、病院での検査の機会が遅れてしまった。


興奮と抑制のバランスを整える


元から病弱な人や持病がある人は、「自分は体が弱いから」と用心し、健康管理に気をつけるケースが多い。でも前述した知人のように、過去に病気とは無縁だった人ほど、自分の体力を過信し、自分がどれほど激務で疲労困憊しているのか気づかず、常にフルエンジンで働いてしまう。

「仕事とは…、働くとは…」何だろうと思う。生活のために働いている人が大部分なのに、その生活のための仕事によって体調を崩し、結果として生活を壊すこともある。頑張っている最中はドーパミンやアドレナリンをどんどん放出しているから、疲労を感じにくいのだと思う(参考:過去記事)。


ストレス イメージ

私も、(前回の記事で書いたように)仕事に邁進し過ぎて体調を崩した経験がある。自業自得といえばそれまでだが、求められるままに精力的に働き、真面目に頑張り続けると、ある程度の時間が経過したあと急にガクッと不調が出る。

私は太極拳や気功という良い健康法に出会ったことで救われた。心の整理もしつつ、今は健康を回復している。しかし、運動でストレス解消することの心地良さをまだ知らない人が、例えばお酒や煙草をストレス解消の手段にしてしまうと健康を害してしまう。

ストレスが続くと、今度は判断力まで鈍ってくる。だからこそ、ゆったりと運動することの気持ちよさや、太極拳など良い運動の健康効果を多くの人に知って欲しい。

「興奮」と「抑制」の体への働きかけのバランスが整わなければ、健康を損なってしまう。

中医学的に言えば、興奮は陽で、抑制は陰に属する。人体は、陰陽バランスが崩れたら不調が出る。

一方だけが過剰になるのではなく、適度にバランスが保たれている状態でいたい。精神状態のあり方によって脳内ホルモンの調整にも影響が出る。


陰陽

何事もやり過ぎは良くない。気を浪費し、心身を痛めつけない生活をするにはどうすれば良いか。

今のこの世の中の状態で、いかにして平静を保ち、ストレス緩和しながら生活するのか。課題は多い。

コメント

随筆★太極拳 - にほんブログ村

↓ Amazonサイト《太極拳》関連商品