みなぎる活力に年齢は関係ない

90歳を超えても常に朗らかでいられる人


今年のお正月、実家を訪問した。そのとき私の親が話していた内容が興味深い。
70代の親が所属する趣味のグループには、60代から90代まで様々な年齢層の人がいらっしゃるらしい。

その趣味のメンバーのうち、私の親がよく一緒に会食するという2人について聞いた。

1人は
80代の女性。立派な方で、昔からグループのリーダー格になるような性格の人らしい(この方には、私も過去にお会いしたことがある)。

もうお一方は
90代の女性。90歳を超えているけどお元気で、割とポジティブに生きている人。

お二人とも高齢なので、過去に怪我や病気の経験があり、例えば
80代の方は膝の調子が良くないとか、90代の方は過去に腎臓を1つ取っているそうだ。

年齢的なことを思えば、乗り越えてきたことも多いだろうし、年々老化するのだから体はそれぞれ万全な状態ではないだろう。

私の親が、このお二方と親しく付き合う中で、日々感じていることがあるそうだ。それは、「生きる活力」という点においては、年齢の高い低いは関係ないということ。

より高齢である
90
代の人の方がいつもお元気で、幸福に満ちている雰囲気と笑顔をお持ちだそうだ。


思考や発言には人それぞれのパターンがある


私の親が、
80代の人よりも90代の人から“生きる活力に満ちた印象”を強く受け取っているのはなぜか。

まず「会話の内容」にパターンがあるそうだ。

高齢になると若い頃よりも、自分の健康不安や、友人や家族の病気や死などの心配事が降りかかる。しかし
90代の方は、普段、会話しているときに前向きな発言が多いという。

そして、自分より年下(
90代からみた年下、つまり6070代の仲間)の話題に、いつも違和感なく入ってくる、つまり性格面での柔軟さがあるという。

もし会話の内容に世代間ギャップがあったとしても、決して知ったかぶりをするでもなく、時には聞き上手になったりして、どんな会話にも上手く溶け込める対応力、発想の柔軟さがあるという。そして、他人に愚痴や泣き言の数々を訴え、まき散らすこともない。

一方の
80代の人は、いつも他人と話す際、自分の苦労や苦痛を相手に理解して欲しくて、“求め過ぎる”傾向にあるという。

常に不安を吐露し、会話相手から「大丈夫ですよ」という言葉を引き出したくて、泣き言と愚痴のオンパレードになってしまうそうだ。

仲間といても、ウィットにとんだ会話を避け、他人にひたすら同情を求めてしまう傾向にある。そうなると周囲の人の心まで暗くなってしまうのだという。

このお二人の過ごしてきた環境や、元々の性格、気質は違うから、どちらが素晴らしいなどと単純に言い切ってはいけないだろう。

ただ、年老いたときに「心をいかに平安に保てるか」というのは、人間力として常についてまわるもの。

朗らかな状態で老後を過ごせるか、逆に、泣き言を常時言いながら暮らしていくのか。健やかに暮らす上で、この差は本人にとっても、周囲の人間にとっても大きい。



ポジティブ ネガティブ



運動して筋肉を養うと代謝もあがるし、
気分もポジティブになる


たびたびこのブログで書いてきたように、私自身、これまで沢山の年上の人達と接してきた。

ときには
60代でも何かに怯えたような表情のまま、簡単なことを自分で決められないタイプの人がいる。

一方、
80代以上でも好きなことをしながら颯爽と、いきいきと生活している人がいる。

何十年もの人生の積み重ねから、その人その人の思考が固まってくるのだろうか。「一度しかない人生を、どういう心持ちで生きるのか」、考えさせられる。

人が「老い」に向きあうとき、どんな意識でいられるか、人生の後半戦に差し掛かったとき、生きることに少しでも意義を見出して闊達に生活できるのか、老いと向き合う際の永遠のテーマだと思う。

私は、太極拳を通して心身を整えることをライフワークとする中で、筋肉を健やかに保つことの大切さを痛感している。中高年になって運動しないと、筋肉量が減るのは本当に早い。

過去記事でも紹介した通り、積極的に筋肉を動かすことで
BDNFというホルモンが分泌されるので、脳の働きが活性化する。運動は、体だけでなく、脳内まで元気にする。

それから筋肉を養い動かせば、関節の可動域が狭くならず、柔軟に良い姿勢を保つことができるので、立ち姿も綺麗になり、気分も上がる。

筋肉量をキープすることで血流が良くなり代謝も促されるから、細胞レベルでイキイキする。

代謝が上がる、つまりエネルギー消費が活発になるから、食欲も増しモリモリ食べられる。

年を取っていくと食が細くなる人もいる。食が細くなるのは、ストレスなど気分的なものが原因の場合もあるし、老化によって胃腸の機能が低下したり、筋力が落ちてエネルギー消費が滞る人もいる。

私の親曰く、ここで紹介した
90代の女性は、一緒に会食するとき、いつも気持ちよくモリモリ食べるそうだ。90
歳を過ぎても内臓が元気でしっかり食べて栄養を摂り、運動して脂肪を燃やす。そしてまたしっかり食べる。

食べ物から毎日必要な栄養を摂って元気でいられれば、気分も前向きになる。ちなみに私は太極拳の稽古をしたあと、胃腸がすっきりした感覚になるし、食欲が湧いてくる。


七情を安定させる


穏やかに、良い心身状態で生活するには、感情のコントロールが非常に重要になってくる。

ネガティブ全開で生活するよりも、ポジティブな方が良いに決まっている。だけど無理してポジティブな人を演じたり、張り切り過ぎるのは、何か違う。ノー天気でいることばかりが良い訳ではない。

「前向き」とか「ポジティブ」という言葉、それ自体に縛られると、かえってつらい。本当のポジティブとかけ離れてしまう。

接客業の職に就いている人など、明るく振舞うべき役割を担っているケースを除けば、取り立てて陽キャラを演じなくてもいいと思う。ときには不安を吐露しても良い。

過度な嘆きや悲しみ、愚痴、陰鬱が続くのもよくない。何事も過ぎたるは及ばざるが如しである。

中医学では、
七情を安定させる必要がある】と考える。

七情とは、
【喜・怒・憂・思・悲・恐・驚】の7つの感情のこと。

この7つの感情は、人間が生きていれば、対人関係や仕事、普段の生活など様々な場面で自然に湧き起こるもの。

ただ、これらの感情のどれかが、過度な状態で長く続いてしまったり、一時的に強く湧き起こるのもよくない。

ストレス性の胃腸炎があるように、酷い落ち込みや悲しみが続くと内臓に不調をきたすなど、感情の乱れは体調を大きく左右する。

喜びの感情が湧き起こるのはとても嬉しい事だけど、喜び過ぎて興奮したり、その状態がやたらと長く続くのは心身によくない。

気がたかぶっている状態が続けば、脳が興奮して血圧も上がり、自律神経も乱れる。急に歓喜することで、心臓発作の危険を招くことだってあるそうだ。



感情


結局、何事も適度に、ほど良い加減をキープするのが大切だと思う。

穏やかな気持ちで過ごせる方が、精神も体の状態も安定する。

イライラが周囲の人に伝染する様に、穏やかな気持ちも周りの人へ伝染する。自分が穏やかな気持ちで過ごしていれば、自然と家族や知人がいる空間も、穏やかで朗らかな笑みに包まれた状態になりやすい。

悲しいことや怒りで鬱憤が溜まっているときは、なかなか感情のコントロールが難しく、クヨクヨして気を浪費する。そんなときは、ちょっと運動してみたり、明るい色の服や物を身に着けてみたり、好みの絵画や映画を観にいったり、座禅をしてみたり…、心の状態をうまい具合に良い方向へ転換させ、気持ちを落ち着けるようにしたい。

コメント

随筆★太極拳 - にほんブログ村

↓ Amazonサイト《太極拳》関連商品