「太る」ということ


肥満 イメージ


30歳で亡くなった友人


私はこれまでの人生で、祖父母など親族の死に何度か直面した。亡くなった親族達は、自分よりかなり年上だったので、悲しかったけれど「順番に見送るのだ」という意識だった。

ところが随分前、30歳の頃に、生まれて初めて同い年の友人を亡くした。この亡くなった友人(M君)は、大学時代の音楽サークルの仲間だった。

大学卒業後、数年経った20代後半のとき、仲間の1人の結婚披露宴に招待され、久々にサークル仲間が顔を揃えたことがあった。

M君もその結婚披露宴に出席していたが、元気がなかった。みんなとの会話の途中でM君は、「最近ちょっと体調悪くて…。」と言っていた。この結婚披露宴の翌年、M君は肝臓癌で亡くなった。

M君が亡くなったあと、駆け付けることが可能なメンバーだけ集まり、彼の実家へ弔問に行った。

私達がお邪魔すると、遺影に向かってM君のお母様が、「〇〇ちゃん、お友達が来てくれたよ。」とおっしゃった。M君が好きだった曲がラジカセから流れていた。そして遺影の傍らには、彼がずっと愛用していたベースギターが立てかけてあった。お母様は、「最後はとても穏やかな表情で亡くなったんです。」と話してくださった。



ベース



肥満と過激なダイエット


実はM君は、大学時代、初めて出会ったときからずっと肥満体だった。身長はたしか173175センチくらいだったと思う。体重は、ピーク時には100キロ以上あった。

彼自身、自分が太っていることをどこまで気にしていたのか、聞いたことはない。自虐で、自分のことを「アンパンマンに似ている」と笑って話していたことを覚えている。

M君は大学時代、「痩せるための施設」に入院したことがある。親の勧めだったのか、誰かのアドバイスだったのか、そこまでは知らない。

一定期間入院し、施設の人に栄養管理をしてもらいながら、絶食に近い厳しい食事制限をして体重を落とす施設だった。いわゆるファスティングダイエットと言われる、断食のような方法。

当時、別の友人がM君の入院の話を聞き、「え? 痩せるためにわざわざお金払って入院するの?」と驚いていた。でも体重が100キロを超え、もう本人の意思だけでは痩せられなかったのだろう。

随分前のことなのに、M君が退院したときの様子はよく覚えている。

施設を出たあとの彼は、確かに痩せてスッキリしていた。100キロ前後だった体重が80キロ台になったと言っていた。

それでもまだ太ってはいたけれど、20キロ近く減量したので顔がほっそりして、ムクムクしていた肩まわりも細くなり、胴体の厚みが前より薄くなっていた。同輩、後輩たちと「ほんとに痩せたねー」と声をかけたのを覚えている。

当時、M君から聞いた体験談を少しだけ記憶している。施設では、固形物を少し食べ、あとはとにかく水分をしっかり摂る。ダイエット期間のメニューが終わったら、いきなりガツガツ食べるのは危険なので、重湯みたいなものからスタートした、と言っていた。

M君の場合、この入院での肥満治療は失敗だった。すぐにリバウンドしてしまった。80キロ台まで減量したのに、結局、わずか2~3ヵ月で元の100キロ前後の体重に戻ってしまった。

肥満体質から抜けきれなかった彼は、大学卒業から10年を待たず、30歳の若さで亡くなった。



体調&体重を調整するなら急激な変化は危険


食事を1食だけ抜くのは、胃腸を休められて良いデトックスになると聞いたことがある。でもM君のように、一定期間あまり食べない極端に過激なダイエットは、いくら栄養管理をしていたとしても、体へのダメージが大きいと思う。

過激なダイエットは、一時的に体が飢餓状態になり、その結果、逆に脂肪をため込みやすくなると聞く。

無理なダイエット


結局のところ、地道に運動したり、食事も極端に減らさず、日々の生活の中で腹八分をキープしていくことが大切なのだと思う。これからダイエットしようと考えている方には、くれぐれも過酷な方法を選ばないよう気をつけていただきたいと思ってやまない。

肥満体でも、小林亜星さんのように長生きした人はいらっしゃる。太っていても病気をせず、健康体で過ごす方もいらっしゃる。それに外見も、ポッチャリしていると健康的にみえて可愛いと思う。だから肥満だけが体に悪いと決めつけることはできない。それに、極端な痩せすぎも体に良くないという。

ただ一般的に言われるように、肥満状態が続けばM君のように肝臓癌のリスクが上がったり、大腸癌、その他の癌、高血圧、痛風、睡眠時無呼吸症候群など、様々な病気が起こりやすくなる。内臓の病気に限らず、膝や腰を痛める人も多い。


肥満体であるかどうか


私はすでに中年世代なので、恥ずかしながら部分的に贅肉がついている。ただ、今まで大幅に太り過ぎたことはなく、一応、標準体型(普通体重→Normal range)をキープしている。


※一般的な肥満の定義は、厚生労働省のウェブサイトで説明してある。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html
(参考リンク)


当然ながら、単純に身長と体重だけでは、健康体かどうか判別できない面もある。見た目が痩せている人でも、いわゆる「隠れ肥満」の人はいらっしゃるので、BMI数値が標準内でも油断はできない。


ところで、私の親族の癌経験者が以前、私にこう言った。
20代の頃の体重から10キロ以上増やしたらいけない。太ったら癌のリスクが上がるよ。」


自分の適正体重より大幅に体重が増えれば、癌やその他の生活習慣病のリスクがグッとあがってしまう。良い食生活と運動を生活に取り入れ、病気になりにくい体を日々つくっていく必要がある。

メタボ イメージ


幸い私は、健康法としての太極拳をライフワークにしており、日常の中で運動する機会がある。もしも好きな運動に出会っていなかったら、元々太りやすい方なので極端に中年太りしていたと思う。

現在の私は、運動の効果で大腿四頭筋などの大きな筋肉が鍛えられている。大きな筋肉を鍛えれば、脂肪が燃焼しやすくなる。


それから「ストレス過多」や「睡眠不足」の状態が続くと過食気味になることがある(いわゆる“やけ食い”)。

心身の状態が乱れると、ホルモン代謝の調整が上手くいかず、食欲を押さえられなくなる事があるという。

そんなときは生活の質を見直す、セロトニンが出やすい運動をする(参考:過去記事)、そして「呼吸法」も有効。

ゆっくり深い呼吸を意識すれば心が安定し、おまけに脂肪は燃焼しやすくなり、細胞を活性化させ、代謝を促すことができる。

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