優雅な動物の動き『五禽戯』~part.4(猿)

<猿戯>


🐵
猿提


猿提の動作はコミカルな感じで、なんだか可愛い雰囲気。動画サイトで複数の五禽戯の動画をみたが、明らかに中高年の域に既に達している中国のオジサマが、コミカルにキュッと鉤手(猿鉤)を作って上げ、肩をすくめているのをみると、何ともいえない可愛らしさで微笑ましくなった。


普段、極端にゆ~っくりと太極拳をしている私にとって、この猿提の“キュッ!”と鉤手を作る動作は新鮮だった。そして、
太極拳ではずっと肩の力を抜いて動作をするので、肩を上げ気味にしてすくめるのは、「太極拳動作なら、もってのほか!」なのだが、五禽戯の猿提では思いっきり肩をすくめるから、長く太極拳をしてきた自分にとって、これも新鮮な動作である。

肩をすくめ、そのあと緩めて腕が下の方へ降りるので、緊張と弛緩が上手い具合に織り交ざっていて、肩まわり~首まわりの血流がとても良くなる気がする。

手を上げ、キュッと肩をすくめ、更に提肛(会陰~肛門辺りを引き上げる感覚をもって動作をする)も意識し、胸の真ん中のツボ膻中あたりに、胴体のすべてを集める意識で行う。こうすると、心臓や肺の付近をめがけて胴体全体を縮こまらせる事になり、胴体の筋肉がしっかりと動かされ、お腹の中の内臓マッサージ効果をもらたし、体の内部にも良い刺激を与える。このあとスーッと息を吐きながら緩めることでほどよく全身の気血を巡らす。

内臓の上の方=心臓や肺周辺を活性化し、体の内外の巡りを良くする動作である。心臓は日夜、一瞬も止まることなく働いてくれている。しかしこの心臓を自分で“ケア”するのは難しい。肋骨などの中に収まっているわけだから、自分の手で優しく揉みほぐすようなことは勿論できない。そんなとき、この猿提が心臓や肺周辺の巡りを良くしてくれる。ただし、高齢の方でペースメーカーを入れている人は、このような運動は、医師の許可を得てから行った方がいいと思う。太極拳仲間の高齢の方が実際にペースメーカーを利用されていて、入れ替え後にそのような事をおっしゃっていた。

🐵猿摘

私は、気功体験教室に参加して五禽戯を体験し、そのあと中国の動画サイトをみながら何度も何度も練習して動作を体に染み込ませた。その際に、一番、練習しにくかったのが、この猿摘である。

五禽戯を練習し始めた初期の頃、猿摘を練習していて、「あれ?どっちだったかな?」と、左右の動きがどちらか分からなくなったりして。もう、何度も何度も繰り返し練習した。やはり理屈で考えるよりも、まずは何度も体に覚えさせるのが先決である。


この猿摘。とにかく可愛い! 私はいつも、桃の実を採る元気な「子ザル」に成りきっている。大人の猿でもいいのだけれど、子ザルをイメージした方が、軽快ですばしこい動きが表現できる。


五禽戯の良さは、熊のようなノッソリ、ドッシリした感じがあるかと思えば、猿のような軽快な動きがあるという、このバラエティに富んだ5つの動物が現れるところである。


それぞれの動物のイメージがまるで違うので、動作で各動物を表現するのがまた楽しい。そして、この「楽しんで行う」ことこそが、運動による心地よさを増し、精神の安定をもたらす。五禽戯は、太極拳同様、心と体の両方に働きかける運動である。


摘では、目の動きもしっかり表現する。前方を見据える時や、「桃の実をとったヨ!」という”てい”で手のひらの上を見るなど、目の動きもしっかりと分かりやすく表現して、猿がすばしこくキョロキョロして動く様子を表せば良い。

それから猿摘は、後ろに下がったり前に出たりと、割と重心移動をはっきり感じられるように流れが作られている。だから足の「虚実」をはっきりと表現した方が良い。そうやって一連の行動をしている猿を表現しながら、足腰を鍛え、血流を促す。

桃の実といえば、中国では古来から神聖な果実であるらしい。以前、テレビで放映された中国ドラマのミーユエ。面白いと教えて下さった方がいらしたので地道に全ての回をみたが、後半あたりで、桃の実を奪い合って激しい諍いが起こる場面があった。実際には皇位継承権をめぐる争いがメインだったけれど、ドラマでは桃の実が権威の象徴であるかのような描かれ方だった。それから西遊記でも、孫悟空が、食べてはいけない神聖な桃を食べてしまうという罪を犯す場面がある。


だから猿摘の動作をしながら、単純に、「まー、桃でも何でもいいから、果実を採るイメージで動けばいいんでしょー!?」という事ではなく、神聖な桃をキビキビと採りに行き、落とさぬようにシッカリと握りしめ(握固)、一連の動作を活発に、やや俊敏に行えば、イメージが形作られ、この動作はより楽しくなると思う。

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